法要(法事)について Vol.1

一周忌や三回忌といった法要のご案内をいただき、参列なさったことがある方もいらっしゃると思います。寺院や自宅などで読経してもらい、お墓参りや会食をして亡き人を偲んだのではないでしょうか。
今回はその法要(法事)についてお話しさせて頂きます。

元々法事の「法」は仏法の法のことです。
仏法の事ですので、本来は仏教全般の事が法事ということになります。
しかし、現在で法事といえば、先祖や父母の追善供養のための法要(一周忌や三回忌等)を法事と呼ぶのが普通になっています。

法事とは追善供養

追善供養は法要を営むことで成仏を願う儀式です。
追善とは、読んで字の如く善事を後ろから追うことであります。
この善事を積むことで得られる功徳は自分のためでもあるのです。
追善供養は故人が成仏できるように生きている者がなさねばなりません。
そしてこの行為こそが法事なのです。

法要には忌日法要と年忌法要があります。
忌日法要は亡くなった命日から数えて七日ごとに初七日(しょなのか)・二七日(ふたなのか)・三七日(みなのか)・四七日(よなのか)・五七日(いつなのか)・六七日(むなのか)・七七日(しちしちにち・四十九日)の七回です。

人は亡くなると四十九日の旅に出るとされています。
そして四十九日の間に来世が決まるとされ、この四十九日間を「中陰」(中有)と呼びます。

経典では「四有」と言う教えがあります。
「生有」母の胎内で生を受けた時
「本有」生きている間
「死有」死ぬ瞬間
「中有」(中陰)死んでから来世に生まれるまでの間

中有とはどこに行くか決まってない「陰」の状態であるということから中陰と呼びます。 人は四有を繰り返しながら輪廻転生をしているという考え方です。

初七日法要

人が亡くなってから最初に行うのが「初七日法要」です。
死後七日目に行う法要ですが、参列者や日程を考慮して葬儀当日に行うことが増えています。これを繰り上げ法要といいます。

四十九日法要

先ほども少し触れましたが、人が亡くなって来世が決まるのは四十九日までと言われています。早ければ初七日、それで決まらない場合はその七日後、十四日後と続き、四十九日で決まるとされています。

ここで中陰が終わるので、これを「満中陰」と呼びます。
行く先は、天上、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄のいずれかとされています。
このどこかに行く先が決まるのですから、中陰の四十九日は大切な期間なのです。
来世での幸福を得られるように、願い営むのが中陰期間の法要になります。

百カ日法要

亡くなって百日目に営む法要で「卒哭忌」ともいいます。
哭は大声で泣くこと、卒は卒業を意味します。悲しみも和らいでくる頃で泣くのをやめる日と言うことです。
また、亡くなられた人の来世は四十九日までの法要で決まっているのですが、もし地獄や餓鬼など悪世界に落ちたとしても、百カ日という追善供養を行うことで救うことができると考えられています。
最近は百カ日も葬儀当日に繰り上げ法要で行うことが増えて、改めて百カ日法要を行う方は少なくなっていますが、百カ日にはこのような意味があるので、改めて百か日法要を行うとよいでしょう。
四十九日の中陰供養まではインドの考え方ですが、百カ日というのは中国の思想のようです。

年忌法要

一般に法事と呼ばれているのが年忌法要です。
一周忌から始まり、三回忌、七回忌、十三回忌、二十七回忌、三十三回忌があります。
五十回忌や百回忌を行うこともあります。七回忌以降はインドや中国にはありません。
いつの時代からなのか確かなことはわかりませんが、七回忌からは日本独自で始められた追善供養のようです。

一周忌

例えば令和四年十月十日に亡くなったとすれば、その翌年の令和五年十月十日が一周忌になります。
一周忌は中国の儒教の教えにもとづくもので「小祥」と呼ばれていたことから、「小祥忌」とも呼びます。
少しは心の整理が出来た頃という意味があるようです。

三回忌

一周忌の翌年、亡くなってから二年目にするのが三回忌です。
「大祥忌」とも呼び、喪があけるという意味です。
この頃になるとご遺族も自分の道を歩む心境になるのではないかという考え方です。
故人の霊に報いるために早め早めに追善することが大切であると考えられることもあり、三回忌は一周忌の翌年に営みます。

三十三回忌

三十三回忌を「弔いあげ」や「問い切り」と呼びます。
三十三回忌を過ぎると故人の霊は成仏したという考えからきているので、年忌法要の中でも盛大に営むのが習わしとなっています。

五十回忌

五十回忌を故人の年忌法要の区切りとすることも多くお見受けします。
この日を迎えることができるというのは大変素晴らしいことです。この特別な日は、ご先祖様に感謝する一日となりましょう。

併修

二人の法要を併せて出来ないのかと聞かれることがあります。これを「併修」といいます。その場合は早い方の忌日に合わせるのが基本です。
一周忌や三回忌は「併修」をさけたほうが良いといわれていますので、「併修」を考えている方は早めに寺院に伺うことをおすすめします。

塔婆

法事の時は塔婆を建てましょう。(真宗では基本建てません)塔婆を建てることを「塔婆供養」といいます。
塔婆供養は故人の成仏や冥福を願い建てる行為です。

法要を営むことは故人の供養はもとより、その功徳は生きている人にも大きな利益をもたらすと言われています。

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