大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい本

もしあなたが今、大切な人を亡くして哀しみの中にいらっしゃるのなら、とてもおすすめしたい本があります。あなた自身ではなくても、あなたの身近に大切な人を亡くし、辛く哀しい思いをしている人がいるのでしたら、その方にも読んでいただきたい本です。
グリーフケアを必要としている方に届けたい一冊「大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」をグリーフケアに取り組み、and new youを主宰するグリーフ専門士の岡田美香さんにご紹介していただきます。

グリーフケアの意味

「grief(グリーフ)」とは、死別などによる深い悲しみや苦悩、大切な人や物を失った体験による悲嘆と反応を意味する言葉です。 その悲しみを「care(世話)」するグリーフケアには、大切な人を失って深い悲しみを抱える人に寄り添い支えて、立ち直ることができるようにサポートする意味があり、遺族ケアや悲嘆ケアともいわれます。

著書/著者紹介

大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと

自由国民社 出版 ISBN-13978-4426125165

著者紹介

著者の井手敏郎氏は一般社団法人日本グリーフ専門士協会の代表理事として活動されています。井手氏は幼少期の喪失体験から、死に関心をもち仏門を志すも、信仰に疑問が生じ、40歳を過ぎてそれらを手放し、人生をゼロからやり直す経験をしています。

その後、日本、アメリカ、ドイツなど国内外でグリーフケアを学び、2015年「哀しみが打ち明けやすい、あたたかい社会を広げる」を理念に日本グリーフ専門士協会を設立。自分の気持ちにしっかり向き合うこと、適切な知識を得ること、繋がりを感じることこそが、グリーフの状態をやわらげるきっかけになると信じ、カウンセリングや講演活動を精力的に取り組んでいらっしゃいます。

「悲しみ」と「哀しみ」

本書では「かなしみ」を「悲しみ」ではなく「哀しみ」と表しています。

『悲は象形文字でお互いに背を向けています。ですから心が引き裂かれると解釈できます。それに対して「哀」という文字の中には口と衣という字があり、衣で口を覆い隠され、さらに蓋で閉じられているように見えます。心の奥にたくさんの想いを抱えながら、誰にも言えずにいるような印象を受けませんか?』

—本文より引用—

哀しみのわかちあい

本書では、「グリーフサロン」(現在は、「わかちあいの会」と呼ばれている)でのやりとりが紹介されています。

わかちあいの会は、ファシリテーターを務める喪失体験に耳を傾ける同行者である「グリーフ専門士」のもと、大切な家族を病気や事故で亡くしグリーフを抱えた5人の参加者が自身の体験を語っていきます。毎回全員が語る必要はなく、その時の自身の気持ちを大切にして、参加したいかたちで参加することが許されています。

全員が想いを語るわけではなく、他の参加者の話を聞くだけの参加者もいます。

時に、ファシリテーターが気持ちを受け止めつつ、時に辛さや苦しさを和らげる助言のようなものも伝えられていきます。

わかちあいの会に集った人は、ずっと抱えていた辛い気持ちを放出し、同席した人の気持ちを聞き、哀しみに共感したり、反発する気持ちが芽生えたりする中で、お互いに気持ちを分かち合い、癒しを得て自身の気持ちを整理していくのです。

多くの人にグリーフケアを知ってもらいたい理由

グリーフ専門士の多くは死別経験者です。グリーフの辛さは同じような体験をしていることで、気持ちをよりわかち合えるかもしれません。だからこそ、わかちあいの会が存在する意味やその場所で得られる癒しや安心感などを必要としている人に知っていただけたらと思います。

また、グリーフを抱えた人は、時に周囲の人の心無い言動に晒されることがあります。言動を発した人にとっては無意識で、悪気の無いことであっても、グリーフを抱えた人にとってはあまりにも辛く、更なる深い喪失につながることも少なくありません。

哀しみとは人それぞれですから、日常を取り戻すまでの時間も、数年から十数年、何十年とかかる人もいます。「何年も哀しんでいてはいけない。亡くなった人が浮かばれない」などという声がけは、グリーフを抱えた人にとっては辛い言葉です。 多くの方にグリーフケアを知っていただけたらと思います。

グリーフと共に生きる希望を見出す

グリーフを抱えた人の誰もが、前の元通りの生活に戻れればどんなにいいのかと思います。たとえ表に見える生活が仮に元に戻ったとしても、喪失という経験は心の中からは取り除くことは決してできないでしょう。生涯を通して哀しみと共に生きていくために、それぞれの悲嘆と向き合い、時間をかけて日常を取り戻していくことが大事です。

そして、哀しみはいつしか自分の一部となります。

「大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと」は、哀しみを抱えている自分を自分で認め、「私はこれでいい」と受け入れていく希望を見出していけるようになる本だと思います。

喪失を抱えたあなた自身のために、あなたの身近な人のために、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。

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