大人が楽しむ絵本

慌ただしい毎日にちょっと疲れてしまうことはありませんか?大人にはちょっと疲れた自分を労わってあげる時間が大切です。労わりの時間には絵本がおススメです。眺めるだけで心が弾む絵と、きもちをそっと撫でてくれる言葉が詰まった絵本は子どもだけのものではありません。大人になって忘れかけていたものや発見が絵本にはあります。今回は大人の絵本をご紹介いたします。

翻訳できない 世界の言葉

著者 エラ・フランシス・サンダース
訳 前田まゆみ
創元社 ISBN 978-4-422-70104-2

なんとも言葉にしがたい感情が湧き上がることや、誰かに伝えたいけれど言葉にしがたいことがあるものです。

例えば、シャツの袖の中で下着がもちゃついている心地の悪さ。袖を引っ張るだけでは解消されそうにない不快感。宮城県には心地の悪さや不快感を表現する言葉「いずい」があります。「いずい」は場で感じる居心地の悪さにも使います。他所の方に「いずい」のニュアンスや影響力を伝えるのは難しいものです。いずいを使う人が遭遇した心地の悪さを表現するのはいずいがもっとも適切なのです。

世界にはいずいのように地域限定で使われる言葉があります。この本では、他の国の言葉ではそのニュアンスをうまく表現できない52の言葉が美しい絵とともに紹介されています。

本の中から2つの言葉をご紹介いたします。

KARELU(カレル)TULU(トゥル語)名詞

肌についた、締めつけるもののあと。
トゥル語はインド南西部地方の方言。ちょっと小さい靴下、ちょっぴりきつい腕時計でついた跡。

跡がついてしまうような経験は一度や二度は必ずあるものです。
時計の跡を見て、ちょっと太ったかなと思うのでしょうか?
家族のふくらはぎについた靴下の跡を撫でながらお疲れ様と声をかけるのでしょうか?
インド南西部ではKARELUを誰がどんな感情で使うのか想像力を膨らませるのも楽しみ方のひとつです。

KOMOREBI(こもれび)日本語 名詞

木々の葉のすきまから射す日の光。木漏れ日。
葉の間をすりぬけた光は、魔法のように心をゆさぶるでしょう。

雨上がりに木々の葉の間から差し込む光がカーテンのように見えることもあります。こもれびは、どの季節にも使われる言葉です。また「こもれびのような人」のように穏やかな人柄を表す時にも使われます。

英語の訳語がない代表的な日本語です。外国旅行した際、その国でこもれびに似た光を感じることはできるのでしょうか?感じられるとしたらどんな国でしょうか?世界地図を押し入れから引っ張り出してめくってみてもおもしろそうです。

 

「翻訳できない 世界の言葉」をご紹介しました。頭を使いすぎて疲れた時にイマジネーションが刺激される絵と言葉を眺めてみてはいかがでしょうか。

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