太極拳を始めませんか?

中国発祥のゆっくりとした動きが特徴の太極拳は、全身運動で身体だけでなく心もほぐし、健康や内面の平静を追求することができる気軽な運動として世界中で親しまれています。今回は太極拳の歴史と効果をご紹介いたします。

太極拳とは

気軽な運動法として親しまれている太極拳(たいきょくけん)は、もともとは、東洋哲学の太極思想を取り入れた拳法で、古代中国で護身術として生まれています。自分の力を最も合理的に使う高度な技法として使われていましたが、現在では年齢に関係なく誰にでもできる健康法として、「TAICHI(タイチ)」の名で日本を始め世界中で親しまれています。

歴史

太極拳の始まりは諸説あり、400年以上前とも300年以上前ともいわれています。
伝説的な太極拳の創始者として知られる宋の張三峯のお話をご紹介いたします。

張三峯は、河南省嵩山の少林寺で少林寺拳法を修学した後、湖北省の武當山で自己習練を積んでいました。ある日、庭先で、鶴と蛇が戦う姿を目にします。鶴は羽を広げて旋回しながら円形の動きをとり、蛇は尾を首の動きに合わせて攻防しました。彼は、鶴の飛翔する姿と蛇の動く形から柔が剛を制し、静が動を制する原理を悟り、太極拳を編み出したと伝えられています。

太極拳はいくつかの流派に分かれましたが、1956年に中国政府が整理し統合したものが、二十四式太極拳(簡化太極拳)として広く行われ、日本をはじめ世界各国に伝わりました。

太極拳にはどんな効果があるの?

太極拳には、身体と心の健康を向上させるさまざまな効果があります。

高い運動効果

太極拳はゆっくりとした動きをするため、「運動効果はそんなに高くないのでは?」と思う方も少なくありませんが、太極拳は見た目以上に運動効果が高いといわれています。

スクワットと同じような基本姿勢や片足でバランスを取るなどひとつひとつの動作は、身体全体の筋肉へ効率的に働きかけるため筋力向上にとても役に立ちます。また、身体をねじる動作や立体的な円を描くように手足や胴体の動きは、柔軟性の向上が期待できます。

高いリラックス効果

太極拳はヨガと同様に高いリラックス効果があります。太極拳のゆっくりとした動作と逆腹式呼吸といわれる深い呼吸法は、心を鎮め、脳をリラックスした状態に近づけます。脳がリラックスした状態になると、交感神経と副交感神経のバランスが整い、一時的な怒りや悲しみなど感情や思考を敏感に感じ取ることができるようになります。感情や思考を意識できるようになると、自分をコントロールする力を養われ、感情に流されない集中力を身に付けることができます。

転倒防止に効果的

太極拳は転倒防止にも効果的です。

オレゴン州の研究機関がおこなった研究結果によると、ストレッチ運動に比べ、太極拳をおこなった人々の方が、1年間の転倒回数がおよそ「半分」にまで減ることも分かっています。また、ハーバード大学では、パーキンソン病のリハビリプログラムに太極拳が取り入れられ、その科学的メカニズムの解明も進められ、その高い効果は「動く薬」とまで呼ばれるほどです。

太極拳の始め方

身体と心の健康を向上させるさまざまな効果がある太極拳の始め方をご紹介いたします。

太極拳は年齢を問わず参加しやすい運動ですから、各地で教室やサークルが開催されています。地域の広報誌やインターネットで教室やサークルを探してみましょう。

また、まずはひとりで始めたいという方は、自宅でYou Tubeの無料動画やDVDを購入してもいいでしょう。見た目の動きだけではなく、呼吸法や心の整え方など習得が難しい部分を何度も見返すことができるので、自分のペースで身につけたい方におすすめです。

20代30代が活躍するスポーツが多い中、「80代で花開く」といわれる太極拳。自分の身体の声を聴きながら、身体を充分に使いこなすバランス感覚と神経を養う、長く楽しめる趣味として初めてみてはいかがでしょうか。

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