現在、「墓じまい」をする人が急激に増えています。
終活の相談に来る方に話を聞くと、実に7割以上の方がこの「墓じまい」に関する悩みを持っています。その「墓じまい」って、どんなものなの?どうすればいいの?にお答えします。
墓じまいをする理由
墓じまいを考えている人の多くは、
・故郷にお墓があり、墓詣りや管理が難しい
・お墓を承継する人がなく、このままでは無縁墓になりそうだ
・親戚のお墓などが複数あり一つにしたい
・檀家制度が重荷でなんとかしたい
・遺された子供達に負担を残したくない
こんな風に考えているのではないでしょうか?
「墓じまい」とは、先祖代々のお墓や、引き継いだお墓を撤去し、
その後に、そのご遺骨を近場の墓地や永代供養墓や期限付き墓などに移す事を指すのです。
墓じまいの手順は?
では、「墓じまい」をするにはどの様な手順で行えばいいのでしょう?墓じまい(改葬)を行う場合には、墓地埋葬法(墓埋法)の定められた法的な手続きをとらなければなりません。
1. 現在のお墓(お骨)の状態を確認する。
2. 現在のお墓の管理者(寺院の住職、霊園の管理会社、地域の墓地管理者など)に相談や連絡を する。
3. 新たな移転先(納骨先)を探す。
4. 役所から改葬許可申請書をもらい記入する。
5. 現在の墓地管理者より「埋葬証明書」を発行してもらう。(管理者の捺印が必要)
6. 移転先の管理者より「受入証明書」を発行してもらう。(管理者の捺印が必要)
7. お墓に入っている方の「戸籍謄本」を発行してもらう。(人数分)
8. 墓地使用者本人ではない場合は、「墓地使用者の承諾書」も必要。
9. 役所に「改葬許可申請書」「埋葬証明書」「受入証明書」「戸籍謄本」「墓地使用者の承諾書」を提出し「改葬許可証」を発行してもらう。
10. 閉眼供養をする。(寺院など)
11. お骨をお墓から取り出す。
12. 墓石の撤去をする。(石材店など)
13. 移転先の墓地・霊園の管理者に「改葬許可証」を提出(永代供養墓・樹木葬なども含む)
14. お骨を移転先へ移動(納骨)し、開眼供養などを行う。
など簡単に書きましたが、手続きはなかなか大変なのは事実です。
自分で行ってもいいが、面倒な方や時間のない方向けの代行サービスも存在します。改葬許可申請など事務手続きだけの代行を行う場合で、通常8万円から20万円はかかると思っていいでしょう。
事務手続きに限らず改葬すべてを代行してもらう場合は最低でも35万円以上かかると思っていいでしょう。また忘れてならないものでは、寺院の場合には離檀(りだん)料金が発生する場合もあるので覚えておきたいところです。
現在は移転先は多種多様
現在は、墓じまい後の移転先の選択肢も広がっています。
その一例を紹介します。
・一般墓(100~400万円程度)
・納骨堂(30万円~300万円程度)
・立体搬送式納骨堂(80~200万円程度)
・樹木葬(20~200万円程度)
・永代供養墓(10~150万円程度)
・期限付き墓(50~200万円程度)
・散骨(2~270万円程度)海洋葬・宇宙葬・バルーン葬など
・手元供養(2~200万円程度)ジュエリー・人工ダイヤモンドなど
・合葬墓(7~80万円)地方自治体など
などです。
墓じまいの注意点
墓じまいでの注意点もまとめておきます。参考としていただければと思います。
- 先に納骨先を決めていないとスムーズに進まないこともあるので注意。
- 家族・親族に相談してから墓じまいを行う。
- 墓じまいの費用は誰が負担するかを決めておく。
- もし高額な離檀料を請求された場合は、第三者に相談する。
- 墓石の撤去は、石材店に依頼する必要あり。日程の調整など、連絡を忘れずに。
- お墓(石材)の処分は別途料金がかかるので、石材店に事前に確認すると安心。
- 墓石の撤去費用以外にも、お布施代や書類代、納骨の費用などがかかるので注意。
- 改葬許可申請をするために、受入証明書・埋葬証明書を用意しておく。
- 墓じまいの際には、寺院など墓地・霊園の管理者への連絡を忘れない。
地元お店への依頼がトラブル回避になる
最近では、多くの業者が墓じまいのホームページなどを立ち上げています。その中にはとても安価な価格設定のところも見かけるが、見積りをとると結果的に地元の石材店の方が安かったという場合もあります。
地元の石材店は地域の寺院などにも太いパイプがあったりしますので、色々なトラブルを回避するためにも、インターネットで依頼するよりもトラブルが少ない場合が多く安心できるのです。
供養に関わることだけに、安さだけを追いかけず総合的な判断で「墓じまい」業者を選びたいものです。