二礼二拍手一礼はいつから始まった?

初詣や七五三のお祝い、厄払いなど、様々な理由で神社に参拝すると思います。
その際、お賽銭を入れてから、「二礼二拍手一礼」の作法をもってお参りする方がほとんどでしょう。これはいつからこうされるようになったのでしょう。
さらに神社での参拝マナーについて簡単に書いてみます。

実はそんなに古くから行われていなかった!

神社のお賽銭箱付近に、この「二礼二拍手一礼」のやり方を図に書いて示してある神社も少なくないですね。それほど定着している作法ですが、実はこれ、一般の方に広まって浸透していったのは、昭和や平成あたりからと言われております。

昭和初期生まれの人などは、手を合わせて礼をするだけのいわゆるお寺で合掌するようなお参りの仕方を子供のころに行っていたので、今の「二礼二拍手一礼」という作法に違和感がある人も多いようです。

「二礼二拍手一礼」はどういった意味があるのか?

何気なく行っているこの作法ですが、現在の「二礼二拍手一礼」に至るまで、さまざまな経緯があったと言われています。

二礼二拍手一礼の起源は諸説ありますが、その一説によると、明治時代にあたる1875年ごろに遡ります。皇室の儀式や祭典などを取り仕切る宮内庁の式部寮から発せられた「神社祭式」という書物に、「再拝拍手(さいはい・はくしゅ)」と記載されていたのが始まりと言われています。「再拝」とは、2度深くお辞儀をする作法です。当時の首相、伊藤博文は「一揖再拝二拍手一揖(いちゆう・さいはい・にはくしゅ・いちゆう)」を取り入れていたとされています。「一揖」とは、浅いお辞儀をすることを指します。

1907年「神社祭式・行事作法」の制定により、祭式の作法が定義付けられ、「再拝→二拍手→押し合わせ→祝詞奏上(のりとそうじょう)→押し合わせ→二拍手→再拝」の形式が 基本となりました。そこから度々改訂され、戦後には、「再拝→祝詞奏上→再拝→二拍手→一拝」と、ほぼ現在の形ができたとされています。そして一般参拝者には、祝詞を省いた「二礼二拍手一礼」が広まっていったと考えられています。

この「二礼二拍手一礼」の作法は、神職が行う玉串奉奠とセットになっていることから、 一般の方が参拝する時にこの作法をするのはどうなのかということも言われているようです。

すべての神社がこの作法なの?

「二礼二拍手一礼」という作法が全国的に広まっていったのですが、違った作法の神社もあります。

  • 出雲大社、宇佐神宮、弥彦神社などは「二礼四拍手一礼」
    出雲大社では5月14日の例祭では拍手を8回行うそうです。この例祭はもっとも大きな祭典であり、このときに無限という意味がある「8」回の拍手を行うことで神を限りなく讃えることを表すといわれております。通常はこの半分の数を作法としているので、「四拍手」となります。
  • 伊勢神宮では「八度拝八開手」が正式な参拝方法とされておりますが、これは神職に限り、一般の参拝客は「二礼二拍手一礼」で行うそうです。

「二礼二拍手一礼」のやり方とは?

  1. 二礼→姿勢を正して、お辞儀を2度する
  2. 二拍手→胸の高さで、右手を少し下にずらして2度拍手する
  3. 両手をあわせて心をこめてお祈りをする
  4. 一礼→最後に1度だけ、心を込めてお辞儀をして締め括る

形式だけにとらわれることはないですが、神様を敬い讃えるということから始まったこの作法の経緯を知ることで、よりよいものにしたいと願った先人たちにも敬意を払い、意識して「二礼二拍手一礼」を行ってみるのもよろしいのではないでしょうか。

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