寒い季節こそ要注意~知らないうちに起こる脱水と脳の健康~

「冬の脱水で病院に行くなんて大げさな」と思われるかもしれません。

しかし、医師が冬に最も警戒するのは、ウイルスによる嘔吐下痢(12月がピーク)と、脱水が引き金になる脳梗塞(1月がピーク)です。

特に脳梗塞は「喉が渇いた」と感じる間もなく、血液がドロドロになることで突然襲ってきます。

まさに、1月、2月の今が一番の警戒シーズンなのです。

冬場の脱水症状とは・・・

冬場であっても脱水に関連して医療機関に搬送されたり、受信したりする事例は数多く有ります。

ただし、夏場のように「熱中症・脱水症」という診断名単独で運ばれるというよりは、「感染症による脱水」や「脱水が引き金となって起こる別の病気」として受信するケースがほとんどです。 私たちが恐れているのは、感染症胃腸炎などによる脱水ではなく、高齢者の方に多い冬の脱水状態や、本人の自覚なしに進む脳梗塞・心筋梗塞に直結する事例です。

どのような事例があるの?

立ち上がった際のめまいやふらつき、失神

暖房の効いた部屋で厚着をして過ごしたり、こたつや電気毛布で長時間寝てしまったりした後、立ち上がった際にめまいやふらつき、失神を起こしやすくなります。

医師が診察、検査をすると、尿素窒素(BUN)の値などが高く、明らかな脱水状態(水分摂取不足)であることが判明するケースで、暖房を強く使いがちな 1月~2月にリスクが高まります。

朝起きたらろれつが回らない、手足がしびれる

寒さで血管が収縮しているところに、冬の乾燥による水分不足(かくれ脱水)になると、血液の粘度が上昇(ドロドロ血液)し、血管が詰まりやすくなります。

ろれつが回らない、手足がしびれるのは、血管のつまりの初期症状で警戒が必要です。

寒さが本格し、気温差(ヒートショック)が大きくなる1月は最も死亡率や搬送が多くなる傾向が有ります。

冬場に脱水が起こりやすい理由

なぜ、冬に脱水が起きやすいのでしょうか。理由は大きく二つ有ります。

暖房による空気の乾燥

湿度が下がると、皮膚や粘膜、そして呼吸を通して体から水分が奪われる「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」が増加します。

加齢による身体の変化

50代・60代を過ぎると、体内に水分を蓄える筋肉量が減少する一方で、喉の渇きを感じるセンサーが鈍くなり自覚がないまま乾燥が進んでしまうからです。

なぜ脱水が認知症予防の観点で重要なのか

体内の水分が不足すると、血液の濃度が高くなり、血流が悪くなります。

脳は、大量の血液を必要とする臓器ですから、血流の悪化は脳への酸素や栄養の供給不足に直結します。

研究によると、わずか1~2%の水分不足でも、集中力や記憶力、注意力が低下

することが報告されています。

「最近、人の名前が出てこない」「何をしにキッチンに来たのか忘れた」こうした「うっかり」は、加齢のせいだけではなく、慢性的な水分不足による脳のパフォーマンス低下かもしれません。

さらに、慢性的な脱水状態は脳梗塞のリスクを高め、それが血管性認知症の引き金になることも有ります。

脳を守るためには、血管の中をサラサラな血液が流れる状態を保つことが不可欠です。

水分補給の目安

「喉が渇く前」に飲む習慣を

「起床時」「食事の時」「入浴前」「就寝前」と、タイミングを決めてコップ1杯(約150~200ml)の水を飲む習慣をつけましょう。

これだけで、1日に必要な水分の多くをカバーできます。

常温の水や白湯を活用する

冷たい水は体を冷やし、トイレが近くなる原因にもなります。冬場は胃腸への負担が少ない常温の水や、体を温める白湯がおすすめです。

部屋の加湿も忘れずに

部屋の湿度が低いと、体から水分が奪われやすくなります。加湿器を使用したりして、湿度を50~60%程度に保つことも、立派な脱水予防策です。

認知症予防というと、運動や脳トレに目が行きがちですが、「水を飲む」という基本的な生活習慣こそが、脳の健康を支える土台となります。

この冬は、ご自身の体と脳のために「コップ1杯の水」を意識することから始めてみませんか?

みずみずしい体とクリアな頭脳で、健やかな冬をお過ごしください。

参考 軽度認知障害(MCI)リスク検査開発メーカー株式会社MCBI

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