親が認知症になる前に! 慌てないための対策は?

親が認知症になっても気付くまで時間がかかった…ということは少なくありません。
物忘れがあっても加齢によるものと思い込んだり、自分の親に限って認知症になるなんて…と拒否する気持ちが働いたりするからです。

国民生活基礎調査(厚労省)によると要介護の第一が認知症です。働き盛りの年代に降りかかる、避けては通れない親の介護。
そこで今回は認知症対策についてお伝えします。

もし認知症になったらどのような介護を受けたいかを聞いておく

親が元気なうちに「知り合いのお母さんが認知症になって大変だったらしい」などと他人の話から入り本音を引き出しておきましょう。

脳の定期検査をする

認知症の原因はアミロイドβなどのタンパク質が脳に溜まることと言われ、現在はMCIスクリーニング検査でアミロイドβが溜まっているかを知ることが出来ます。定期的に検査し、早期発見、早期治療をおすすめします。

成年後見制度で「親の財産」を管理する

親が入院したり住環境を整えたりするために、まとまったお金が必要になる場合があります。しかし定期預金を解約するには本人が窓口に出向くか、委任状が必要になるため、認知症の場合は難しくなります。そんな時は成年後見制度の活用ができます。

「任意後見」と「法廷後見」があり、どちらも親の財産を管理し、必要な支出を適切に処理することで親の生活と財産を守ります。

家族の誰かが財産の管理をすれば良いと考える方もいるかと思いますが、公正に管理していても他の家族に疑いの目で見られることが皆無とは言えません。

「後見人」が管理した方が他の家族の理解を得られやすいのです。

また、認知症の診断を受ける前であれば様々な対策の幅も広がります。迷った時は専門家へ相談するのがいいでしょう。

「認知症」かもしれない症状に早く気付く

物忘れがひどい➡︎しまい忘れ、置き忘れが増え財布や通帳など盗まれたと人を疑う
・判断、理解力が衰える➡︎新しいことが覚えられない、テレビの内容が理解できない
・時間、場所が分からない➡︎慣れた道でも迷うことがある
・人格が変わる➡︎些細なことで怒る、頑固になった、自分の失敗を他人のせいにする
・不安感が強い➡︎一人になると怖がる、寂しがる、外出時に持ち物を何度も確認する
・意欲がなくなる➡︎下着を変えず身だしなみに構わない、好きなことに興味を示さない、億劫がる

認知症を疑ったら早めに「検査」と「治療」を受ける

かかりつけ医に相談して専門外来を紹介してもらう、または地域包括支援センターに相談し地域での専門医を紹介してもらうことができます。

検査方法

・脳の状態を見る「CT・MRIなどの画像診断」
・知能機能を測定する「長谷川式などの心理テスト」
受診当日は日常の症状をきちんと説明できる人や、本人が安心して頼れる人が同行しましょう。

治療

・進行を抑える薬が使われます。
認知症と間違えやすいものに老人性うつ病があります。元気がなくふさぎ込むことが多くなった時はうつ病とも考えられますので注意しましょう。

「認知症」といわれたら…「ケア体制」と「住環境」の整え方

地域包括支援センターや介護保険を活用しましょう。

◎ケア体制について
親が住んでいる地域の役所に要介護認定の申請を行い認定される介護保険によるサービスが受けられます。
次にケアマネジャーに相談しケアプランを立ててもらいます。地域包括支援センターでは認知症に関する情報が得られるので活用してみましょう。また、兄弟姉妹などで親をどう支えて行くか、親は勿論ですが子供やその家族の人生も大切です。ケア体制をしっかり話し合うことがとても重要になります。

◎安全な住環境について
失火と転倒防止に注意します。運転免許証は返納しましょう。

認知症の親との「コミュニケーション」の取り方

認知症という病気を正しく理解することが大切です。親は自分の記憶力低下に不安を感じ苦しい思いをしているかも知れません。「私がサポートするから」「大丈夫だよ」と安心させることが大切です。

ついイラッとすることが有るかも知れませんが、怒ったり、責めたりせずに一呼吸おく冷静さが必要です。子供扱いや、腫れ物に触るような接し方をせずに親を尊重する気持ちを忘れずにいたいものですね。

◎認知症の親にお勧めの話し方
・親の目を見ながら明るい表情でゆっくり話します。
・親の反応を見て話の内容が理解できていない時は一つのことを取り上げてシンプルに話します。
・楽しい昔話で会話が弾みます。
・認知症でも昔のことは良く覚えているので、アルバムを見ながら「私が小学校に入学したときよ。お父さん若くて素敵だったね。」などと話かけて見ましょう。

いかがでしたでしょうか。
今は、認知症も早期発見、早期治療で回復の可能性があると言われています。
MCIスクリーニング検査の活用や、元気なうちの対策で、少しでもリスクを減らしておきたいですね。

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