連年贈与は怪しい?毎年あげる「暦年贈与」の落とし穴と正しい対応

やり方や捉え方を一歩間違えると、思わぬ課税を招きかねないのが生前贈与の難しさです。正しい対策を学んでおきましょう。

佐藤 智春先生
みらいえ相続 相続専門税理士
専門分野:相続税・贈与税・所得税・事業承継・黒字解散

金(かね)つぐ
資金運用の天才。相続専門の佐藤税理士の相続への熱意と、困っている人々を助けたいという想いから現れた相続勇者。相続の様々な側面を分かりやすく説明し、人々の不安を和らげていく相続勇者。

「佐藤先生!最近、知人から『毎年コツコツ子供にお金を贈与していると、税務署から連年贈与だって怪しまれて、あとからドカンと税金を取られるぞ』って脅されたんです。これって本当ですか!?」

「そんな風に言われたら心配になりますよね。結論から申し上げますと、毎年継続して贈与を行う『連年贈与』そのものが税務上問題になるということはありません。」

「えっ、問題ないんですか? じゃあどうしてそんな噂が流れるんでしょう……?」

「実は、連年贈与と見た目がそっくりな『定期贈与』というものがありまして、こちらと混同して勘違いされているケースがとても多いんです。」

なぜ「毎年の贈与」が問題視されるのか?

「『定期贈与』……ですか? 聞き馴染みのない言葉ですね。」

「定期贈与とは、『毎年100万円を、これから10年間にわたって渡すね』というように、あらかじめ総額や期間の約束をして行う贈与のことです。この約束をしてしまうと、毎年の贈与はその都度ごとの行為ではなく、最初に決めた1,000万円という大きな財産をただ10回に分割して支給しているに過ぎないとみなされてしまうんです。」

「あっ!ということは、110万円の非課税枠(基礎控除)の範囲内で少しずつあげているつもりでも、最初の年に『1,000万円の贈与契約』があったと判断されて、思いがけない高額な贈与税がかかってしまうということですか!?」

「まさにその通りです!110万円の範囲内のつもりだったのに、総額に対して贈与税の計算がされてしまうことになります。この『定期贈与』のルールがあるために、『毎年続けて贈与するのは危ないんじゃないか?』という誤解が生まれてしまうわけですね。」

定期贈与と疑われないための対策はあるの?

「先生、税務署から『それ、定期贈与でしょ?』と疑われないように、個別の贈与として認めてもらうための対策はあるのでしょうか?」

「難しく考える必要はありませんよ。一番大切なのは、『その都度、お互いの合意のうえで行われた個別の贈与契約である』としっかり説明できることです。具体的には、次のポイントを意識して形式を整えておきましょう。」

  • 毎年の贈与ごとに贈与契約書を作成する
    「あげる」「もらう」という合意を毎年その都度行い、証拠として契約書を残します。公証役場で確定日付の印をもらうとなお良いです。
  • 銀行振込などで履行の記録を残す
    手渡しではなく口座振込を利用することで、贈与の履行を明確にしておきます。
  • 110万円を超える場合は正しく申告する
    基礎控除を超える贈与であれば、当然ですがその都度、贈与税の申告を行います。

「よくネットとかで『毎年、贈与する日付や金額を変えた方がいい』なんてテクニックを見かけますけど、あれは効果があるんですか?」

「それは特に気にする必要はないでしょう。たとえば『私は毎年の記念日である特定日に、一年間の感謝とお祝いを兼ねて、区切りとしてその都度同額の贈与を行っている』という場合、日付や金額が一緒だからといって、それだけで定期贈与にはなりません。何より大切なのは『その都度ごとの贈与である』と言えることですからね。」

「なるほど!毎年の契約書や振込履歴という『確かな証拠』が大切なんですね。」

「どうしても心配な場合は、契約書に『この贈与は毎年行うことを約束したものではありません』と記載しても良いです。」

まとめ

  • 連年贈与自体は問題なし:毎年継続して行う贈与でも、その都度ごとの合意に基づく契約であれば個別に課税され、何ら問題はありません。
  • 「定期贈与」の約束はNG:あらかじめ総額や期間を決めてしまうと、最初の年に総額に対して課税されてしまうリスクがあります。
  • 対策は「その都度の証拠」:毎年の贈与契約書の作成や、銀行振込による履行の明確化など、形式をしっかり整えておくことが大切です。

「毎年の贈与も、しっかりとした『契約と証拠』があれば恐れる必要はないんですね!正しいやり方を押さえておかないと、税務署への説明の段階で困ってしまうかもしれないとわかり勉強になりました。」

「その通りですね。良かれと思って始めた生前贈与が、やり方や捉え方一つで思わぬ課税を招いてしまうこともあります。『うちの贈与のやり方で大丈夫かな?』『将来の相続を見据えて、今から賢く財産を移していきたい』と思われた方は、ぜひ一度みらいえ相続グループへご相談ください。お客様の状況に合わせた最適な生前対策をアドバイスさせていただきます。次回も相続や税金について一緒に学びましょう。お楽しみに!」

「連年贈与」と「定期贈与」の違いをご理解いただけましたでしょうか。生前贈与は専門家に相談の上、「契約と証拠」を揃えて正しく行いましょう。

おすすめの記事