相続人の権利と役割

何事にも、権利あるものには責任が伴います。後で困らないよう、相続人のことについて理解を深めておきましょう。

佐藤 智春先生
みらいえ相続 相続専門税理士
専門分野:相続税・贈与税・所得税・事業承継・黒字解散

金(かね)つぐ
相続専門の佐藤税理士の相続への熱意と、困っている人々を助けたいという想いから現れた相続勇者。相続の様々な側面を分かりやすく説明し、人々の不安を和らげていく相続勇者。 資金運用の天才。

相続人には、亡くなった方の財産を受け取る権利があるだけでなく、財産を管理したり、分割の話し合いに参加する責任があったりします。そして、相続分については、『法定相続分』に基づく場合と、遺言や遺産分割協議による場合があります。今回はこの3つのケースについて詳しくお話ししましょう。

相続人の範囲

「そもそも、相続人って誰がなるの?」

「相続人になれるのは、法律で決められた範囲の人たちだけです。基本的には配偶者と血縁関係のある親族ですね。」

(1) 相続人の種類と順位

  1. 配偶者(常に相続人になる)
    • 被相続人の婚姻関係にある配偶者は、常に相続人となります。
    • 注意:内縁関係の場合、法律上は相続人にはなれません。ただし、遺言書があれば財産を受け取ることは可能です。
  2. 子ども(第一順位)
    • 子どもは配偶者と並んで最優先の相続人になります。
    • 代襲相続:もし子どもが被相続人より先に亡くなっている場合、その子ども(被相続人の孫)が代わりに相続します。
  3. (第二順位)
    • 子どもがいない場合、被相続人の親が相続人になります。
  4. 兄弟姉妹(第三順位)
    • 子どもも親もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。
    • 代襲相続:兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子(被相続人の甥や姪)が相続します。

相続分の決まり方

相続人が財産をどれだけ受け取れるか(相続分)は、大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

(1) 法定相続分の場合

「法定相続分ってどんなもの?」

「法定相続分は、民法によって定められた相続人それぞれの取り分の割合です。遺言書がない場合や、遺産分割協議がまとまらない場合は、この割合に基づいて相続されます。」

  • 配偶者と子どもが相続人の場合
    • 配偶者が1/2、子どもが1/2を平等に分けます。
    • 例:配偶者と子ども2人がいる場合、配偶者が1/2、子ども2人が1/2を等分(それぞれ1/4ずつ)。
  • 配偶者と親が相続人の場合
    • 配偶者が2/3、親が1/3を分け合います。
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
    • 配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を分け合います。
  • 子どもだけが相続人の場合
    • 子どもが全額を平等に分けます。

「法定相続分は、家族構成によって割合が決まるのだな。」

「そうですね。ただし、相続人全員が必ずこの割合で納得するわけではありません。そのため、次に紹介する遺言や遺産分割協議が重要になってきます。」

(2) 遺言による相続の場合

「遺言がある場合はどうなる?」

「遺言がある場合は、法定相続分ではなく、遺言書に書かれた内容が優先されます。被相続人の意志が尊重されるんですね。」

  • 遺言の活用例
    • 子どもの1人に多めに財産を渡す。
    • 特定の子どもや親族に不動産を渡す。
    • 法定相続人以外の人(例:友人や寄付団体)に財産を分ける。
  • 注意点:遺留分
    遺言によって自由に分配を決めることができますが、相続人には最低限保証された取り分(遺留分)があるため、それを侵害するとトラブルが発生する可能性があります。
    • 配偶者や子ども:法定相続分の1/2が遺留分。
    • 親:法定相続分の1/3が遺留分。

「遺言があれば、被相続人の意志を反映した相続ができるんだ。でも、遺留分も考えないといけないのだな。」

「その通りです。遺言がある場合でも、遺留分を侵害しないよう配慮することが大切です。」

(3) 遺産分割協議による相続の場合

「遺言もない場合、どうやって財産を分ける?」

「遺言がない場合は、相続人全員で話し合いを行い、財産の分け方を決める『遺産分割協議』をします。この結果に基づいて、財産が分配されます。」

  • 協議の流れ
    1. 相続人全員で集まり、話し合いを行う。
    2. 協議の結果を「遺産分割協議書」として書面にまとめる。
    3. 相続人全員が協議書に署名・押印する。
  • 協議で分け方を決める方法
    • 現物分割:不動産はAさん、預貯金はBさんといったように財産そのものを分割する。
    • 代償分割:1人が財産を取得し、その代わりに他の相続人に現金で補償する。
    • 換価分割:財産を売却し、その売却代金を相続人で分ける。
  • 注意点
    相続人全員の同意が必要。1人でも反対する相続人がいると協議は成立せず、家庭裁判所で調停や審判を行うことになります。

「話し合いで決める場合、全員が納得しないと先に進めないのか。それだと時間がかかりそうだな。」

「はい。トラブルを避けるためにも、協議の進め方が非常に重要になります。」

相続人の役割

「相続人には具体的にどんな役割がある?」

「相続人には、次のような役割があります。」

  1. 相続財産の管理
    • 預貯金の凍結解除、不動産の維持管理、必要な税金の支払いなどを行います。
  2. 遺産分割協議への参加
    • 相続人全員で話し合いを行い、分割方法を決定します。
  3. 相続税の申告と納税
    • 相続税の基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要です(申告期限:相続開始から10か月以内)。

まとめ

  1. 法定相続分:法律で定められた割合で分割。
  2. 遺言による相続:被相続人の意志を優先。ただし遺留分に注意。
  3. 遺産分割協議:相続人全員で話し合い、分割方法を決定。

「相続分には法定相続分だけでなく、遺言や話し合いによる方法もあるのだな。それぞれメリットと注意点があることがよくわかったよ。」

「そうですね。特に、遺言や協議による相続は、法定相続分では難しいケースに柔軟に対応できるのが利点です。ただし、どの場合でも相続人全員が責任を持って参加することが大切ですよ。」

次回も相続について学びます。お楽しみに!

相続人や相続分は家族構成、遺言書の有無、話し合いなどにより様々です。相続に直面した際に、慌てず責任をもって手続きを進められるよう、今のうちにわが家のことを確認してみませんか?

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