相続と遺言

いざその時になって苦労する前に、ぜひ知ってほしい「遺言」のこと。癒し度高めの“ 恩つぐ ”と一緒に学んでいきましょう。

佐藤 智春 先生
みらいえ相続 相続専門税理士
専門分野相続税・贈与税・所得税・事業承継・黒字解散

(お)つぐ(おつぐ):相続専門の佐藤税理士の相続への熱意と、困っている人々を助けたいという想いから現れた相続勇者。相続の様々な側面を分かりやすく説明し、人々の不安を和らげていく。恩つぐは相手の気持ちを理解し、細やかな配慮ができる優しい性格の持ち主です。家族や大切な人への「恩」を次世代に受け継ぐという想いが強い。

「相続に遺言が関係しているのはわかるけれど、具体的に遺言って何なのか詳しく教えてほしいです。」

「いい質問ですね。今回は『相続と遺言』について、基礎から丁寧に説明していきますね。」

相続とは?(復習)

「まず、相続の基本について復習したいです。相続ってどんな仕組みなのですか?」

「相続は、亡くなった方(被相続人)が生前に持っていた財産や権利、負債を遺族(相続人)が引き継ぐ仕組みです。」

  • 相続財産:不動産、現金、預貯金、株式などの財産だけでなく、借金や未払い金といった負債も含まれます。
  • 相続人:相続人の範囲は法律で定められていて、配偶者や子どもが基本となります。場合によっては親や兄弟姉妹も相続人になります。

「相続は財産を引き継ぐだけでなく、借金のような負債も対象になるのですね。」

「その通りです。そのため、相続人には財産を引き継ぐかどうかを決める選択権もあるんです。」

遺言とは?

「相続において『遺言』が重要だと聞きました。そもそも遺言とは何ですか?」

「遺言とは、亡くなった方が『自分の財産を誰に、どのように分けるのか』を決めた内容を文書で残したものです。」

遺言の役割

  1. トラブルを防ぐ:財産の分け方が明確になるため、相続人同士の争いを避けられます。
  2. 自由な財産分配が可能:法定相続分に縛られず、自分が望む相続方法を指定できます。
  3. 法定相続人以外にも財産を分けられる:友人や寄付先の団体にも財産を渡すことが可能です。

「確かに、財産をどう分けるかをきちんと指定すれば、相続人同士の揉め事を減らせそうですね。」

「その通りです。遺言は被相続人の『最後の意思』を明確に伝えるための大切なツールなのです。」

遺言がない場合の相続

「もし遺言がない場合、相続はどうやって進むのですか?」

「遺言がない場合は、相続人全員で話し合い、決定します。」

法定相続とは?

  • 法定相続分:民法によって、財産がどのように分けられるかが決められています。
    • 配偶者と子どもが相続人の場合:配偶者1/2、子ども1/2。
    • 子どもがいない場合:配偶者2/3、親1/3。
    • 子どもも親もいない場合:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4。

遺産分割協議が必要

  • 法定相続分に基づき、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、遺産を分けます。
  • 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判に持ち込まれることもあります。

「遺言がないと、相続人同士で話し合わないといけないのですね。」

「そうです。特に不動産のような分割しにくい財産がある場合、トラブルが起きやすいです。その点、遺言があると相続がスムーズに進みますよ。」

遺言書の種類

「遺言書にはどんな種類があるのですか?」

「遺言書には主に3つの種類があります。それぞれ特徴があるので、状況に応じて選びましょう。」

(1) 自筆証書遺言

  • 概要:遺言者がすべて手書きで作成する遺言書。
  • メリット
    • 費用がかからず、自分で簡単に作成できる。
    • 他人に内容を知られずに済む。
  • デメリット
    • 法的に無効になるリスクがある(形式不備や署名・押印忘れなど)。
    • 紛失や改ざんの恐れがある。
    • 相続発生後、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判官立会いのもと、遺言書の内容を確認する検認手続きが必要。すぐに相続手続きが進められない。
  • 補足:2020年から「法務局での保管制度」がスタートし、法務局に保管を依頼できるようになりました。

(2) 公正証書遺言

  • 概要:公証人が作成し、証人2人の立ち会いで作成する遺言書。
  • メリット
    • 法的に有効で、無効になるリスクが低い。公的な文書として扱われるため、遺言の内容に関する争いが発生した場合、強力な証拠となる。
    • 公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がない。
    • 相続発生後、通常必要な検認手続きが不要のため、相続手続きを迅速に進めることができる。
  • デメリット
    • 作成時に費用がかかる(数万円~)。
    • 証人2人を手配する必要がある。

(3) 秘密証書遺言

  • 概要:内容を秘密にしたまま、公証人に遺言書の存在を証明してもらう方法。
  • メリット
    • 内容を他人に知られることなく作成できる。
  • デメリット
    • 内容に不備があると無効になるリスクがある。
    • 自分で保管するため、紛失リスクがある。

「公正証書遺言は費用がかかるけれど、安全性が高そうですね。」

「その通りです。確実に意思を伝えたい場合は、公正証書遺言が最適ですね。」

遺言作成時の注意点

「遺言を作成するとき、気をつけるべきことはありますか?」

「はい、以下の3つのポイントを押さえておくと良いですよ。」

  1. 形式を守る:遺言書の形式が法律で定められているため、これを守らないと無効になります。
  2. 遺留分に配慮する:法定相続人には最低限の取り分(遺留分)が保障されています。これを無視するとトラブルになる可能性があります。
  3. 早めに準備する:元気なうちに作成し、家族の状況に応じて見直すことも大切です。

「遺言を残すことで、家族に負担をかけずに済みそうですね。」

「そうですね。遺言は相続人への最後のメッセージとも言えるので、早めに準備を進めることをおすすめします。」

まとめ

1. 遺言とは:被相続人が財産の分け方を指示する文書。相続を円滑に進めるための重要な手段。
2. 遺言書の種類:自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があり、それぞれ特徴がある。
3. 遺言がない場合:遺産分割協議が必要になる。

「相続において、遺言がどれだけ重要かよくわかりました。」

「ありがとうございます。遺言があることで、相続はスムーズに進み、相続人同士のトラブルも防ぎやすくなります。きちんとした遺言書を作成するためにも、相続税や手続きなど様々な観点から考え作成することが大事です。幅広い相続知識と経験のあるみらいえ相続に一度ご相談ください。」次回も相続について学びます。お楽しみに!

財産が多いか少ないかというだけでは、揉め事の判断はできません。残されたご家族の負担を軽くするために、正しい知識を持って遺言書を検討してみてはいかがでしょうか。

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