「財産はいらないから、相続放棄しよう。」なんて簡単なことではないのです。
ポイントを押さえておかないと、
「相続放棄できない!」、
「相続放棄したのに、責任だけが残るなんて…」
という事態になりかねません。
自分にとって最良の選択を考えるためのお話です。
この記事で出てくる相続用語
【相続】相続人が被相続人の財産を引き継ぐこと。
【被相続人】亡くなった人。故人。
【相続人】被相続人の財産を引き継ぐ権利がある人。
【遺産分割協議】相続人間での相続財産をどのように分けるかの話し合い
相続サポートセンター様のご紹介
佐藤 智春さん
仙台相続サポートセンター所長 相続専門税理士
専門分野相続税・贈与税・所得税・事業承継・黒字解散
管野さん
仙台相続サポートセンター新人スタッフ
相続放棄とは
「仙台相続サポートセンターに相続放棄をしたいというご相談で来られる方もよくいらっしゃいますよね。そもそも相続放棄って何なんでしょうか?」
「相続放棄とは、被相続人のプラスの財産、マイナスの財産に関わらず一切の財産を放棄することを言います。」
「相続放棄をするべき人というのはどういった人になるんでしょうか。」
「例えば被相続人の財産がプラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合や、どうしても遺産分割協議に参加をしたくないという場合は相続放棄するのが望ましいですね。」
「相続放棄をするために、期限はありますか?」
「相続放棄は被相続人が亡くなった日又は相続人であったことを知った日から3か月以内に行わなければいけません。」
「財産を調べた上で放棄をしたいとなると結構時間が無いですね・・・ 間に合わなそうな場合はどうしたらいいんでしょうか。」
「相続放棄の期間の伸長を申立てることができます。伸長の申立ても3か月以内に行わなければいけません。申立てが認められると3か月期間を延ばすことができます。」
「申立てれば期間を延ばすことが可能なんですね。 放棄をするにあたって、手続きは他の相続人と一緒に行わなければいけなかったりするのでしょうか?また、その手続きはどこでする必要があるのでしょうか?」
「相続放棄は他の相続人の承諾を得る必要が無く、単独で行うことができます。 相続放棄の申し立て先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。郵送での手続きも可能です。」
「亡くなられた人が遠く離れている場所に住んでいたとしても手続きができるんですね。」
相続放棄をするとどうなる?
「同じ順位の相続人全員が相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移ります。例えば被相続人の第一順位の相続人である子が全員相続放棄をした場合、第二順位の親に相続権が移ることになります。」
「子供が3人兄弟で、そのうち1人だけが相続放棄をした場合は、第二順位に相続権は移らないということでしょうか?」
「そういうことです。 また、相続放棄をしても法定相続人の数は変わらないことになっているので、相続税の基礎控除額は減りません。相続放棄により相続権が他者に移ったとしても、法定相続人の人数は相続放棄前の人数と同じになります。」
相続放棄の注意点
「相続放棄をするにあたって何か注意点はありますか?」
「注意点はいくつかありますが、代表例を3つ挙げます。」
1.相続放棄後に新たに発覚した遺産があっても相続することができない
「極端な例ではありますが相続放棄後に1000万入った通帳を見つけた!としても相続することができないんですね・・・」
2.次の相続人が決まるまで管理責任義務が残る
「例えば子が親の相続放棄をして、親の兄弟が相続放棄手続き中という時に親の自宅の屏が壊れて通行人を負傷させてしまった。となった場合の責任は子にあることとなります。」
3.相続放棄で代襲相続はできない
「親の財産を自分の子に相続させるために自分が相続放棄をする、ということをしても自分の子に相続権が移ることはありません。」
「気を付けなければいけないことが多いですね・・・」
相続放棄ができない場合
「また、相続放棄をしたくてもできない、という場合もあります。」
1.相続放棄の申請期間に間に合わなかった
「相続放棄は、先ほどもあったように相続人であったことを知った日から3か月以内に手続きを進めなかった場合、相続放棄をすることができません。」
2.被相続人の財産に手を付けた
「相続放棄をする前に被相続人の財産を引き出し、解約などを行った場合は相続放棄ができません。手続きを行った場合は相続する意思があったとみなされ、相続放棄が認められません。名義変更や解約手続きを行う前に、財産調査を行うことをおすすめいたします。」
「自分は相続放棄するべきなのか、相続放棄できるのか、判断がつかなかったり悩んだりされた際はぜひ仙台相続サポートセンターにご相談ください。」
やり直しはできない問題ですから、慎重に判断しましょう。
3カ月という短い期間で財産調査し、相続放棄した後のことまで考えるのは、
専門的な知識がなければ難しいことです。
ひとりで悩み、時間を費やす前に専門家へ相談してくださいね。